YAMAHA・NIKEN LMWの将来性はハンパ無い! 眠くなるほど快適すぎた! NIKEN 300kmツーリング試乗レポ/ヤマハ・ナイケン
- 2019/01/02
- MotorFan編集部 近田 茂

長距離ツーリングの新車試乗会。報道関係者向けのイベントだが約300kmも試走する機会が与えられるなんて、何年振りの事だろうか。既にクローズドコースでの試乗会はご報告済み。それだけヤマハはこのNIKEN、つまりはLMWの訴求に並ならぬ力が入っている。蓼科&諏訪湖を目指し、都内渋滞路から高速や峠道まで。タンデムも含めた公道ランで、果たしてどのような乗り味を発揮してくれたのか。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
ヤマハ NIKEN・・・・・・1,782,000円〜

スタート地点となったのは、汐留駅近くにあるCommunication55と言うお洒落なカフェレストラン。先ずは店頭で撮影を始めると足早にオフィスへと急ぐ人々が、斬新な乗り物のNIKENに目を止めていく。前2輪後1輪、バイクとは全く異なるそのスタイリングを初めて目にする人にとって、おそらくそれは異様な光景に見えた事だろう。フロントまわりのボリューム感にも圧倒される。それにしても注目度の高さには驚かされた。発売間もない新型バイクで街を走る機会は良くあるが、これほど注目を集めた事はないのである。
都内首都高を抜けて中央高速を山梨方面へ向かう。タンデムライティングのチェックや撮影も含めて、サービスエリアに立ち寄りながらのツーリング。駐輪場に止めるとその都度周辺の人々が集まってきて声をかけてくれる。ライダー仲間はもちろん、クルマに乗る老夫婦まで興味津々の様子。
走行中でも同様で周囲の車や対向車までもが珍しい物を見た時の驚いた表情でこちらを見る。NIKENの注目度はそれほど大きかった。

走りのパフォーマンスについては、既報の試乗レポートを参照して欲しい。基本的にMT-09で開発された直列3気筒エンジンの出来栄えは素晴らしく、NIKEN用エンジンとしての専用チューニングも絶妙の仕上がり。263kgの車重負担を感じさせないほどの逞しい出力特性を遺憾無く発揮し、タンデムでも全く不足のない余裕ある快適な走りを披露してくれた。
クイック・シフト・システムが採用されているので、シフトアップは左手のクラッチを操作する事なくギヤチェンジが可能。高速クルージングでは、クルーズコントロールを使えば、スロットルを開け続ける右手の負担もなくなり、それはもう快適。ただし、クルマでは今や常識的な前車追従機能は付いていないので、交通量が多く速度変化が頻繁な道路ではあまり活用できないのが残念である。ついでに言うとグリップヒーターやシートヒーターが欲しいし、ウインドプロテクションもツアラーとしては改善余地があると思えた。
市街地でも高速でも一番嬉しかったのは、ブレーキ性能に対する信頼性の高さからもたらされる安心感。これはもう2輪の比ではない強力なブレーキングが可能。気持ちには大きなユトリが生じて、いつもより楽に景色を楽しめる感覚になれたのである。カタログに明記されている通り、安定感が生み出すリラックスできる乗り味は実に魅力的だ。
関連記事>>>ヤマハ・NIKENは雨でも楽しい不思議なバイクだった。

紅葉シーズン真っ只中のビーナスラインは気温も低く、路面には落葉も多い。山間の日陰と日向との温度差や湿り具合も差が大きく、当然細心の注意が必要だが、NIKENは前輪の接地感が圧倒的に優れている。しかも左右2本ずつタンデムにレイアウトされたフロントフォークが共に協調しあってかなりレベルの高い上等なサスペンションとして機能し、乗り心地と安定感は抜群である。
総重量がかさむ二人乗りや荷物満載でも、その恩恵は大きく常に穏やかな心持ちで快適に走れるメリットは大きいと感じられた。
一つだけ違和感を覚えたのは、NIKENは「バイクと同じように扱える」スポーツ・ツアラーとうたわれている点だ。新しい乗り物故に、第一弾では間口を狭めたくない配慮であると理解はしているが、高速ロングクルージングでの快適性、重装備でも安心感たっぷりな乗り味を満喫してしまうと、むしろそこにこだわる必要はないのではないかと思い始めてしまったのである。
改めて断っておくと、NIKENは見事にコンセプト通りの仕上がりを披露してくれた。その豪快な走りと快適性は高く評価できる。ただ前述の通り、リラックスできる乗り味、ゆとりを覚える楽な操縦性故、ライダーの気持ちは良い意味で落ち着いた雰囲気に包まれる。そこには快適ツアラー、疲れ知らずのロングクルーザーとしての優れた資質が備わっているのだ。
あえて乗り味の違いに言及すれば、バイクにはある独特の緊張感は薄まる。
つまりNIKENはツアラーとしての個性追求に的を絞るする方が相応しい(似合う)し、3輪ならではの素晴らしい機能性がより活きてくるのではないかと思う。そうすることで、LMWのリラックスできる乗り味がより大きな魅力になるだろう。
例えば脱着式あるいは備え付けのパニアケースをインテグレテッド・デザインする。今よりもエアロプロテクションに優れるカウルを装備、停車時の自立機能や、各種快適装備を追加すれば、ホンダのゴールドウィングに対抗できるヤマハ独自のグランドツアラーに仕上げられるのではないだろうか。等とタンデムツーリングを楽しみながら勝手に夢が広がる思いがした。
EICMA2018でワールドプレミアされたNIKEN GTはそんな方向性を示すヤマハの回答のひとつでもあるだろう。将来LMWがどのような製品群に進化して行くのか、それはバイク市場には止まらず、その発展性に対する期待値はハンパ無く大きいのである。

EICMA2018で初公開されたNIKEN GT は、まさにヤマハのそんなアプローチの一つに見えた。
タンデム性はいかに……
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