走ってると、“チラ見され率”高し→Z900RS CAFÉはカッコいいと確信 【Z900RS CAFÉ1週間レポート】素直に曲がる車体、のけ反る加速、ワイルドなエンジン音。Z900RS CAFÉは乗り手の心を満たす存在である。
- 2019/02/13
- 佐川健太郎

大ヒット驀進中のZ900RSをベースにフロントカウルを装着し、専用のライポジとカラーリングで往年のカフェレーサースタイルに仕上げたのが「Z900RS CAFÉ」である。Zの系譜を継ぐ現代の名車に1週間じっくりと乗ってみた。
REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
カワサキ・Z900RS CAFÉ……1,350,000円



Z900RSは最近のバイクの中では最も美しいと思える一台だ。もちろん、美しいの基準はいろいろで人それぞれに感じ方は異なるだろう。艶やかで派手なイタリアンスポーツや機能美の塊のようなドイツ車も美しい。でもこれだけメディアでも注目され社会現象のようになっている大型バイクは他にあまり見当たらない。それだけ万人に受けている証拠と言ってもいいだろう。その一番の理由がデザインの美しさだと思う。Z900RSは日本人の琴線に触れる美的センスを持っているのだ。そして、よくできたその素材を生かしつつ、最近流行りのカフェレーサースタイルでまとめ上げたのがZ900RS CAFÉである。
昭和的レトロポップ感が新鮮だ
RSより“走り”を意識したライポジ
勢いよく回るセルモーター音に続いてズドンと目覚めるエンジンはヤル気に満ち溢れている。金属的なメカノイズを含む重厚なアイドリング音はけっこう大きめで、軽くスロットルをブリップしながら「ズウォン、ズウォン」と響くワイルドな重低音に聞き惚れる。これだけでもう幸せだ。
のけ反る加速、でも基本は素直

リッタークラスとは思えない軽いタッチのアシスト&スリッパ―クラッチをゆっくりとつないでいくと、アイドリングでもスルスルと前に出ていく。さすが現代のバイク、そして大排気量ならではの極低速トルクが頼もしい。エンジンはとにかく元気があって、ピックアップが良すぎるぐらいなので迂闊にスロットルを開けるとのけ反るほどだが、慣れてきて丁寧に扱えるようになると実に従順。シートの納まりのいいところに座って両腕の力を抜き、下半身のホールドを意識しつつ、柔らかくスロットルを当ててやるのがコツ。
そうすればスムーズに加速するし、狭い交差点でも目線を向ければ素直に曲がってくれる。シフトタッチも節度があって気持ちいい。ブレーキも秀逸で、ラジアルモノブロック&ラジアルポンプの組み合わせは極めて強力だが、カッチリとした剛性感のあるタッチでコントロール性も抜群。思わずかけ過ぎたときでも即座にABSが作動してくれるので安心だ。
Zの神通力は健在だった
サウンドチューニングされた音も魅力だ。街中を流しているだけでも図太い排気音とともに甲高い吸気音が常にタンク周辺から聞こえてくる。サウンドはけっこう大きめで街中でも目立つが、スポーツマインドを求めるライダーにはそのハーモニーが耳に心地良いはず。ギヤチェンジしながら回転数によって変わる音色を楽しめるのでBGMいらずだ。
小ぶりなカウルだが効果は絶大
高速道路ではカウルの恩恵をあらためて実感した。この時期、バイクには厳しい季節だが、ことさら剥き出しのネイキッドにとって高速道路が苦行となるのはご存じのとおり。その点、CAFÉには小ぶりな通称ビキニカウルが標準装備されているが、これが実に有効だった。滑らかな曲線を描くスクリーンが50km/h程度からでも風を和らげてくれているのが分かり、速度を上げるほどにその効果を実感できる。ライポジ的にもRSに比べて上体が前傾していることもあると思うが、カウルが飾りではなく実用品であることも分かった。
走りは極めて現代的
欧州向けストリートファイター「Z900」をベースに、よりストリート向けに最適化された直4エンジンは低中速トルクに厚く日本のワインディング向きと言える。ミッションもワイドレンジな設定で、2速、3速でほぼすべてのコーナーをカバーできてしまうほど余裕があり、うっかり下りコーナー手前でギヤを落としすぎてしまってもアシスト&スリッパ―クラッチ機構が働くので後輪ロックなどのリスクを低減してくれる。コーナー立ち上がりなどで開け過ぎてしまったときに後輪の滑りを抑えるトラクションコントロールも含め、パフォーマンスとともに安全性もバランスよく高められていることもポイント。見た目はレトロポップだが走りは極めて現代的だ。
スーパースポーツと張り合える
前後サスペンションはしなやかでコシがあり高速コーナーでもよく踏ん張ってくれるし、標準装着のOEタイヤは十分なグリップ性能と接地感で安心してサーキット走行を楽しめなど、吊るしでもスーパースポーツと張り合えるほど次元の高い走りができるのが素晴らしい。
ただ、ペースを上げていくとリヤショックが入り気味になってくるので減衰力とプリロードも少し強めたほうがシャキっとするだろう。でもその前にコーナーではステップを擦り始めてしまうので、本気でサーキットを攻めたいのであればレーシングステップに交換するのがおすすめだ。また、タイヤもグレードアップすればさらにポテンシャルを引き出せるはずだ。
街中にも溶け込むレトロモダンなスタイルと、ステージを問わず楽しめる走りの良さ。そして何と言っても「Z」の本流を受け継ぐ存在感そのものが光り輝いている。まさに正統派カワサキ。万人を魅了する理由を説明する言葉はいらないと思う。

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