鈴鹿8耐前に知っておきたい。今年復活する「TECH21」、その神話をおさらい
- 2019/07/06
- MotorFan編集部

テックツーワン……バイクに少し興味のある人なら、聞いたことがある言葉かもしれない。50代のおじさんには馴染み深い、平成生まれのヤングなライダーには新鮮な、TECH21伝説を今一度おさらいしよう!
PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)
「不屈のヒーロー」の誕生
今年、「ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム」は、TECH21カラーという、レジェンドカラーをまとって鈴鹿8耐に参戦する。もうすでにさまざまなメディアで薄紫色をまとったYZF-R1が紹介されているが、なぜここまで、いわゆるTECH21カラーと、そのライダーである平忠彦が伝説となったのか。その戦績から紐解いてみよう。
世の中の若者のほとんど、少なくとも自分がバイクに乗っていなくても、友達の友達までたどればほぼ確実にバイクに乗りに当ったという1985年。日本は空前のバイクブームに湧いていた。三重県鈴鹿で行われる8耐は、バイクは好きだがレースに興味のない若者でさえも「いかなければならない」と考えた夏の最大のイベントとなっていた。
しかし、レース残り30分、首位を走りながらも平/ケニー組のFZR750はエンジントラブルによりスローダウン。優勝を逃してしまったのは有名な話だ。そこから90年までの8耐は、もちろんスターライダーが数多く出場しドラマを演じたものの、「平は今年優勝できるのか」がひとつのテーマになったといっていい。
今一歩で優勝を掴むことの出来ない薄紫色のカラーリングは、平のストイックで冷静な雰囲気を相まって悲壮感さえ漂うものとなった。8耐ファン、ひいては全国のバイクファンに、毎年強烈な印象を残していったわけだ。
そして悲願の優勝は90年に訪れた。ホンダ、ガードナー/ドゥーハンと平/ローソンというスターライダーの競演によって幕開けたレースは、両者の激しいバトルの末、102周目のRVF750のガス欠で決着がつき、ついに平は優勝を成し遂げたのだった。
激闘の記憶は当時の若者の共通体験に
だが、実際このカラーを初めて見た当時の若者の印象はというと、意外にも「なんだこれ」という感想を持つものが少なくなかった。当時レーサーは赤、青、黄色、白などの原色使いが多く、派手でよく目立つ色が好まれた。また、スポンサーはタバコメーカーやオイルメーカーなどが一般的でもあった。そのため、この特殊ともいえる薄紫色、さらに化粧品メーカーというスポンサードに対し、初見ピンと来なかった若者が多かったのだろう。
しかし、平のストイックな戦いぶり、なによりその速さは、そんな先入観を見事に吹き飛ばしてしまった。いつしかTECH21カラーは、不屈の挑戦を示すカラーになり、実際その挑戦は5年の歳月をかけ、見事に結実したわけだ。

オリジナルのTECH21✕平忠彦は挑戦5年目にして悲願の優勝を獲得した。今年ヤマハは偉業の5連覇に向け、このカラーリングを選択した。昨年同様、JSB1000で活躍する中須賀克行、WSBKライダーのアレックス・ローズ、そしてマイケル・ファン・デル・マークの3人が、不屈の挑戦をもって挑む8耐。果たしてこのカラーリングは、新たな伝説を生むことができるのだろうか。
|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebジムニー特集
関東屈指のロングダートを制覇せよ! 秋鹿大影林道&万沢林道...
- 2019/08/17
- コラム・連載記事
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
スズキ・ジムニーシエラを測って測って測りまくる。高さは? ...
- 2019/08/14
- コラム・連載記事

結局、スズキ・ジムニーのリジッドアクスルは何がスゴイのか?
- 2019/07/01
- ニューモデル
オービス対策‼ 交通取締情報局

移動オービスは何km/hオーバーで光る? 最低検挙速度独断検...
- 2018/11/11
- TOPICS
みんながオービスと見間違えちゃうNシステムの怖さを検証!...
- 2017/10/02
- TOPICS

スピード超過が事故につながる首都高速道路のオービスポイン...
- 2019/09/10
- オービス情報
令和2年、ついに「あおり運転」の罰則も強化へ! どうなる!? ...
- 2019/09/08
- TOPICS