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元テレビ解説者が語るレッドブルエアレース 「幕張レーストラックはどう攻める?」

  • 2019/09/06
  • MotorFan編集部
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今回の幕張のレースでレッドブルエアレースは終了する。現在、上位3人(マルティン・ソンカ、マット・ホール、室屋義秀)のポイントは接近している為、誰もが最後のレースでチャンピオンを狙いたいと果敢に攻めたフライトをしてくることだろう。では、そんな舞台となる幕張は、どのように攻めるコースなのだろう?
REPORT●後藤 武

シンプルに見えて実はテクニカルなコース

2019の幕張レーストラック。基本的なコースレイアウトは昨年までと似ているが若干コンパクトになっているようだ。新コースではこれまで同様、両端のハイGターンがタイム短縮のポイントになる。シンプルなデザインに見えるが、パイロット達に聞くと非常にテクニカルで忙しいコースだと言う。

 幕張のレーストラックは、海岸線に沿って平行に伸びた長細いコースだ。両端にハイGターンがあり、通過するゲートの数は合計で14だ。

タイムを詰めるポイントはバーチカルターン

ゲート5のハイGターンは、垂直に上昇する為別名バーチカルターンとも呼ばれる。ここでターンするタイミングや操縦でタイムが大きく変わる。このコースでの勝負どころの一つだ。

 タイムを詰める上で重要になるのがコース両エンドにあるハイGターンだ。ここは飛び方で大きくタイムが変わる。ゲートを抜けて上昇に入るのが0.1秒遅れると機体は10m以上進んでしまう。180度ターンしなければいけないのでロスは2倍だ。
 だからといって焦ってしまい、ゲートを通過する時に姿勢が変わってしまうとペナルティを受ける。パイロットはギリギリの操作を開始しなければならない。

バーチカルターンではゲートを通過する姿勢やパイロンヒットだけでなく、オーバーGや失速といったミスをする可能性が他のゲートに比べて多い。明暗の分かれるところである。

 ハイGターンで注意するべきことはまだある。一つはオーバーG。速度が出ている状態でタイトにターンする為、引き起こし初期の段階で強く操縦桿を引きすぎてしまうとGリミットを越えてしまう可能性があるのだ。極力小さく、タイトに回りたいが、そこで10Gを越えないように注意しなければならない。
 そしてもう一つが失速。ゲート9後のターンでは水平に近いターンをする選手が多い。速度が出た状態を維持する為に失速の心配は少ないが、ゲート5(13)後は垂直に上昇して3/4宙返りをするようなバーチカルターンをする選手がほとんどだ。その為、宙返りの頂点近辺で速度が落ちる。ここで操縦桿を緩めないと機体が失速してしまうのである。失速が発生すると機体の姿勢が乱れ、スピードダウンしてしまう。その先にあるシケインに侵入するスピードにも影響してしまうなどロスが大きい。ハイGターン、バーチカルターンは、勝負所であると同時に罠がたくさん隠されているのである。

風が吹くと難易度は膨れ上がる

ゲート4をターンしてゲート5に向かうところ。最短距離で飛んでいくとゲート5に対して斜めに侵入することになる。翼端とパイロンの距離が縮まる為、風が吹いたりするとパイロンヒットのリスクが高くなる。

 風が吹いた時、パイロットを悩ませる可能性があるのは4番ゲートから5番ゲートへの飛び方である。4番から5番ゲートへは真っ直ぐに飛んでいくのだが、そうすると5番ゲートに斜めに侵入することになる。ただでさえ狭いゲートの幅がさらに狭くなる。
 そしてこのゲートの難易度を上げる可能性かあるのが風だ。幕張では海岸特有の海風が吹くことが多い。5番ゲートに突っ込んでいくパイロットからすると真横から風が吹く。
 飛行機にとって、横風は非常にやっかいな存在だ。飛行機を取り囲む空気ごと動いてしまっているからである。車に例えるのなら、最高速で車体の幅ギリギリのゲートを通過する時、道路が横に動いているのと同じだ。
 しかも風は一定ではない。ガストという突風が吹く状態になると難易度は何十倍にも膨れ上がるのである。

土曜日のフライトを見逃すな

2018年の幕張で予選から好調だったギューリアン。この機体にはEDGE540複座型の主翼が使われていた為、他の選手よりも主翼面積が大きかった。今年はどんな仕様で挑んでくるのか。

 もしもこの記事を読んでいるアナタがレッドブルエアレース ファンだったら土曜日のレースは見逃さない方がいいだろう。理由は二つある。
 一つは予選の重要度が高くなってきて本気のフライトを見ることができるということ。予選トップタイムに3ポイント、2位に2ポイント、3位に1ポイントが与えられる為、これがシリーズランキングにも影響する可能性がある。土曜日の予選から各パイロット達は全力でタイムアタックを行うはずだ。
 さらに日曜日の天気が悪化するとフライトできず、土曜日の結果によってレースの順位が決まってしまう可能性もある。最後のレースを目に焼き付けておきたいのであれば、土曜日、日曜日の両方で行っておいた方がいいだろう。

雨だったらレースはどうなる?

多くの観衆が砂浜を埋め尽くした2018年幕張のレース。このエキサイティングなレースを見ることができるのもいよいよ今回が最後になってしまった。

 安全を最優先するレッドブルエアレースは天候に影響を受ける。重要なのはレースをするのに十分な視程があること。そしてもう一つが風だ。この二つがクリアされていれば、多少雨がパラついていてもフライトされる可能性はある。
 雨あしが強くなったらフライトもできなくなるから、パイロット達は、そんな展開までを考え、様々な作戦を練っていることだろう。最後の戦いとなる幕張で悔いを残さないフライトをする為に。

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