スバルEJ20はいかにして生まれたか——水平対向は必然だった

2019/08/04
Motor Fan illustrated編集部

EJ20（ターボ）。初代レガシィとともに登場した富士重工の第2世代水平対向エンジン。ターボ仕様の場合、リッターあたり出力は110psに達している。本体上部に置くインタークーラーは水冷式。ヘッド後方の角が削れているのはメンバーを避けるため。

EA52。材料費の嵩むのを承知でオールアルミ製にするなど、元々は「しっかりしたエンジン」を目指して設計されてはいた。しかし、設計の出発点は800cc。ボアアップによる排気量拡大にも限界があった。不等長エキゾーストが結果として「ボロボロ」というスバルサウンドを生んだ。

開発を担当した工藤一郎氏（スバルテクニカインターナショナル株式会社代表取締役社長：取材当時）。「水平対向でしっかり作る」決断を後押しする材料が次々に出てきたと当時を振り返る。

3ジャーナルから5ジャーナルへの変更が、長寿命エンジンの基礎を作った。インプレッサWRX STIが積む最新スペックは、リッターあたり出力154psに達する。

入社2年目でEJ20の設計を任された柏瀬一氏（スバル技術本部トランスミッション設計部担当部長：取材当時）。先行開発やWRCプロジェクトなどの業務を経て、現在はCVTの開発に携わる。

EJ20自然吸気仕様のカッタウェイ。動弁系や吸気系も1980年代のスタンダードに刷新。吸気ポート上流部に可変バルブが見える。ロッカーはラッシュアジャスター付きのスイングアーム式。バルブ駆動は信頼性を考え、ベルトを踏襲した。深いバルブリセスは、高圧縮比を狙った結果。

初代レガシィは1989年2月のデビュー。過給機付き水平対向エンジン+4WDによって、レガシィの、そしてスバルの高性能なイメージを（とくにワゴンモデルが牽引して）定着させたモデル。発売に先立って、FIA公認の世界速度記録に挑戦した（10万km平均速度 223.345km/hなどの新記録を達成。当時）。

1998年のレガシィに搭載されたEJ20エンジンターボ

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