世界最高峰のショーファードリブンの実力を再考する ロールス・ロイス・ファントムを運転してみたら、ドライバーズカーにもなり得る実力に思わず唸った
- 2018/10/27
- GENROQ編集部

ショーファードリブンの王様といえば、やはりファントムだろう。新開発のアルミスペースフレームボディにファントム史上初の6.75ℓ V12ターボエンジンを搭載した8代目の世界観を再考する。
TEXT◎渡辺敏史(WATANABE Toshihumi)
PHOTO◎神村 聖(KAMIMURA Satoshi)
ロールス・ロイスを陸の帝王たらしめている最大の要因といえば、ブランドの象徴でもあるファントムの存在だろう。
その歴史は社会状況の変化などもあって途切れ途切れではあるものの、90年以上前の1925年、元号でいえば昭和元年から連綿と続くものだ。ゆえに現体制でBMWが、まずこのファントムを強固な中核としてトップダウン的にモデルラインナップを再構築するブランディングを考えたのは当然といえる。
イアン・キャメロンの手になる7代目ファントムは2003年の登場以降、見事に21世紀のロールス・ロイスの何たるかを世に知らしめた。伝統と革新という大義的な題目をこれほど端的に示したデザインは他類がない、近年稀にみる佳作だと思う。その力強いモードは後にクーペ&ドロップヘッドやゴースト、レイス、ドーンといった様々なモデル群に展開されていくも、現にその気高さには微塵の揺らぎもない。

8代目となるニューファントムは躊躇なくその世界観を継承している。エクステンデッドボディは中国でさえやや長いという市場からの声を受けて7代目に対して100㎜程度短い6m切りを果たしたが、2m超えの全幅にSUV並みの全高という寸法構成は相変わらずサルーンとしては規格外だ。取材当日は新型センチュリーと並ぶこともあったが、車格的には2セグメントは違うくらいの「圧」を放っている。
もはやそのくらい図抜けた存在とあらば、寸法変更に伴って室内も狭くなったのかと気に留める意味もないだろう。ファントムEWBの後席空間は相変わらず前後左右に広大だ。前後席間に明確な高さの違いがあった7代目に比べれば8代目はわずか低くなったような気もするが、それは外訪者の錯覚かもしれない。逆にいえば乗り慣れたオーナーにおいてはまったく違和感なくいつもの場所で寛ぐことができるよう、あらゆるものの操作やタッチに至るところが7代目のそれを踏襲している。大きく変わったものといえばピクニックテーブルとモニターの位置関係や電動チルト化されたフットレストくらいだろうか。
それだけ広大な空間を有していながら、調整式のリヤシートは最大限に動かしたところで、寝そべるようなポジションに至るわけではない。車中でそこまで弛緩させるつもりはないという、極めて英国的な節度がそこにある。一方で、シートクッションのストローク感は絶妙で、体は滑り潜ることなくふわっと浮遊しているかのような沈み込みを実現している。徹底的に鞣なめされた表皮のタッチと併せて、姿勢を崩さずとも十分に寛げる着座感はロールス・ロイスならではのものだろう。

たとえば東京の都心部のような、せいぜい60㎞/h以下の低中速域では、時折小さな凹凸やマンホール段差などで特に後軸側からのわずかなコツコツ感が見て取れるが、首都高〜高速道路の速度域になればそれすらも霧散する。
そしてこの域になると車両全体の上下動量も7代目より若干抑えられているようだ。ともあれ速度を問わずロードノイズや風切り音は徹底的に封じ込められていて、エンジンは始動時から隣の家の出来事のように存在感が遠い。マジックカーペットライドは古くからロールス・ロイスを指すものとして用いられているが、そりゃあ乗り心地はそうとしか例えようがないだろう。
- 1/2
- 次へ
|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
自動車業界 特選求人情報|Motor-FanTechキャリア
「自動車業界を支える”エンジニアリング“ 、”テクノロジー”情報をお届けするモーターファンテックの厳選転職情報特集ページ
株式会社トランストロン
ソフトウェア開発<車両向け電子制御システム>
年収
500万円〜900万円
勤務地 神奈川県横浜市新横浜2-15-16 NMF新横浜...
この求人を詳しく見る
トヨタグループの一員で、自動車の開発を担う企業
ソフトウェア開発
年収
400万円〜700万円
勤務地 愛知県みよし市本社に配属予定です。
この求人を詳しく見る
「自動車業界を支える”エンジニアリング“ 、”テクノロジー”情報をお届けするモーターファンテックの厳選転職情報特集ページ

株式会社トランストロン ソフトウェア開発<車両向け電子制御システム>
年収 | 500万円〜900万円 |
---|---|
勤務地 | 神奈川県横浜市新横浜2-15-16 NMF新横浜... |
トヨタグループの一員で、自動車の開発を担う企業 ソフトウェア開発
年収 | 400万円〜700万円 |
---|---|
勤務地 | 愛知県みよし市本社に配属予定です。 |
フランクフルト・モーターショー2019

ついに来た! 新型ランドローバー・ディフェンダー降臨! Gク...
- 2019/09/10
- ニューモデル

〈新型ランドローバー・ディフェンダー〉新着写真続々! Gクラ...
- PR
- 2019/09/12
- ニューモデル

ホンダの100%EVモデル「Honda E」市販車がデビュー! 約348...
- 2019/09/10
- ニューモデル

コンセプト4は4シリーズの未来形!? BMWの超攻撃型デザイン現...
- 2019/09/10
- ニューモデル

フォルクスワーゲンの小型EV「ID.3(アイディ.3)」デビュー...
- 2019/09/10
- ニューモデル

「AI:Trailクワトロ」はアウディの示す近未来EVオフローダー...
- 2019/09/10
- ニューモデル
マツダ3特集

マツダ3セダン「間違いなく、いまもっとも美しいセダン!」 ...
- 2019/09/10
- インプレッション

日本仕様のSKYACTIV-Xは、なぜハイオク仕様で圧縮比15.0なの...
- PR
- 2019/09/09
- トピック
「マツダは裏切らない」実用性を失うことなく美しいデザイン...
- 2019/09/06
- コラム・連載記事
マツダ3 ファストバックXD:600km走ってその完成度は? 燃費...
- 2019/08/26
- インプレッション
マツダ3、人気のカラーは? パワートレーンは? ファストバ...
- 2019/08/29
- ニュース
マツダ3 ファストバックXD:vs VW ゴルフ 走り慣れた都内の...
- 2019/08/28
- インプレッション
ジムニー特集
関東屈指のロングダートを制覇せよ! 秋鹿大影林道&万沢林道...
- 2019/08/17
- コラム・連載記事
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
スズキ・ジムニーシエラを測って測って測りまくる。高さは? ...
- 2019/08/14
- コラム・連載記事

結局、スズキ・ジムニーのリジッドアクスルは何がスゴイのか?
- 2019/07/01
- ニューモデル
オービス対策‼ 交通取締情報局

移動オービスは何km/hオーバーで光る? 最低検挙速度独断検...
- 2018/11/11
- TOPICS
みんながオービスと見間違えちゃうNシステムの怖さを検証!...
- 2017/10/02
- TOPICS

スピード超過が事故につながる首都高速道路のオービスポイン...
- 2019/09/10
- オービス情報
令和2年、ついに「あおり運転」の罰則も強化へ! どうなる!? ...
- 2019/09/08
- TOPICS
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報

ロールスロイス ファントム
ベースグレード 稀少右H ベージュ革 純正ナビ 後席モニター
中古価格 1398万円

ロールスロイス ファントム
シリーズII SWB D車 左H 4人乗り サンルーフ
中古価格 3380万円

ロールスロイス ファントム
100周年世界100台限定車 SOEパッケージ ワイン革
中古価格 2150万円

ロールスロイス ファントム
中古価格 1598万円

ロールスロイス ファントム
シリーズ2 左ハンドル
中古価格 2980万円

ロールスロイス ファントム
ベースグレード ディーラー車
中古価格 ASK