自分では消せない! ヤリスの常時オートライト採用に見るトヨタの安全思想 新型ヤリスの安全装備に表れたトヨタの本気度───「トヨタ初」や「トヨタ最新」のオンパレード!
- 2019/10/16
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塚田 勝弘
ついにワールドプレミアされた新型トヨタ・ヤリス。日本市場においてはトヨタのエントリーモデルな乗用車という位置付けだが、注目すべきは充実した予防安全装備と先進運転支援システムの充実ぶりだ。なにしろ「トヨタ初」「トヨタ最新」の装備がテンコ盛りで、かつてトヨタが暗黙で守ってきたヒエラルキー……つまりセンチュリーやクラウンが最もエラく、安価なモデルは上級モデルよりも優れていてはならないという不文律を、トヨタ自ら崩していこうという姿勢が見て取れるのだ。
REPORT●塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)
トヨタが新型ヤリスへかける意気込みは、同社初となる先進安全装備の数々からも浮かび上がってくる。「M パッケージ」をのぞき全車に最新の「Toyota Safety Sense」を標準装備。単眼カメラとミリ波レーダー、ソナーというハード面は変わらないものの、ソフト面(アルゴリズム)のアップデートなどによりトヨタ初装備が搭載されている。
衝突被害軽減ブレーキである「プリクラッシュセーフティ」は、対前方車両はもちろん、昼夜の歩行者に対応し、夜間の歩行者対応はトヨタのコンパクトカーでは初となっている。対自転車運転者は昼間だけだが、横断自転車(出会い頭の衝突)だけでなく、前方の自転車への追突にも対応するという。ユーロN CAPが先行している対自転車試験に対応し、今後日本でも対自転車の項目が2021年度から加わる見込みになっていて、先取りした格好になる。
トヨタ初採用となるのが、交際点シーンへの対応で、対右折時直進車両だけでなく、対右左折後横断歩行者にも対応する。これは、事故発生率の高い交差点での事故減少を狙った装備で、対右折時直進車両や右左折後の横断歩行者に対して衝突被害軽減ブレーキが作動し、被害の軽減、または衝突回避が図られることになる。ボルボやアウディが高級車で採用している機能がトヨタの実質的なエントリーカーでも用意されたことになる。
ドライバーのサポート系機能では、時速30km/h以上で作動する先行車追従方のレーダークルーズコントロールを同社コンパクトカートして初搭載している。設定した車間距離に応じて自動的に加減速することで、ドライバーの負担を減らしてくれる。
レーントレーシングアシストも用意。上記のレーダークルーズコントロール作動時に車線維持に必要なステアリングの操作をサポートする機能で、コンパクトカーでは、はみ出し警報の車線逸脱警報のみ、という車種が多い中、車線維持のアシスト機能も用意されている。なお、白線や黄線が見えにくい、または見えないケースでも先行車を追従し、操舵をサポートする。さらに、レーダークルーズコントロールを使っていない状態でも速度や道幅などの条件を満たせば、ステアリングの制御と警報が鳴り、アスファルトや縁石などの視界から逸脱しそうだと車両が判断した場合もサポートする。つまり、路外逸脱対策も含まれている。
また、ハイ/ロー自動切替のオートマチックハイビームも搭載されている。注目は、ヘッドライト用レバーからライトのオフスイッチがなくなったことで、オートもしくはロービームの点灯状態がデフォルトになる。これは、自発光式メーターの普及などにより、無灯火での走行する車両が増えたことに対応するもので、メルセデス・ベンツなどは日本向けでもいち早く採用してきた。
オートライトの義務化は、日本でも新型車は2020年4月以降の新型車に、継続生産車も2021年10月以降適用されることになっている。これにより、視認性、非視認性ともに高まり、夜間はもちろん、昼間のトンネルなどでヘッドライトを点灯しないで走行する車種が徐々に減ることになりそうだ。
なお、新型ヤリスのヘッドライト用レバーは、強制的にハイビームに入れるスイッチ(レバー頭のスイッチを前にひねる)と、強制的にライトを消す(レバー頭のスイッチを後ろに数秒間ひねる)ことも可能。ライトが消せるのは、住宅街での駐車場などで、鏡に向かって前向き駐車するような立体駐車場などでは点けっぱなしだと眩しい、といった諸事情への配慮と思われる。いずれにしても消すにはワンアクション必要になり、都市部など明るい場所でも周囲に自分の存在を着実に知らせることになる。
ほかにも、標識の見逃しを防止するロードサインアシストも搭載されている。最高速度、はみ出し通行禁止、車両進入禁止、一時停止の道路標識をメーター内に表示する機能で、安全運転を喚起したり、知らず知らずに違反してしまったりというケースを減らしてくれそう。なお、付帯機能として、先行車発進告知機能も用意されている。
さらに、ドライバーサポート系機能として、トヨタ初の高度駐車視線システム「Advanced Park」も設定される。これは、ステアリング、アクセルとブレーキペダルを自動制御する機能で、シフト操作はドライバーが手動で行う。縦列、並列駐車ともに対応する。
操作は駐車枠の横に停車した後、「P」とステアリングのマークが表示されたスイッチを押し、自動認識したスペースを確認して開始スイッチをオン。車両が停車した後にドライバーがシフト操作(リバースに入れる)をすると、駐車スペースを自動認識しながらハンドル、アクセル、ブレーキを操作して駐車枠に入れてくれる。
さらに、白線がない場所での駐車にも対応している。日産リーフも可能だが、ヤリスではカメラ映像が駐車スペースを認識し、自宅駐車場などを記録するメモリ機能を搭載。白線のない駐車場でのメモリー機能は、世界初だそうだ。
「Advanced Park」の安全対策としては、車両の前方/後方、ドアミラーなどに付けられたカメラ、12個のソナーにより自車周辺360°を監視し、障害物との接触回避を支援し、警報とブレーキが作動する。移動物検知については、身長80cm以上の子どもに対応するそうだ。これは、アメリカで義務化されているリヤカメラのKT法(Kids and Transportation Safety Act)に準拠する形になる。
なお、シフト・バイ・ワイヤやEPB(電動パーキングブレーキ)搭載車であれば(ヤリスは機械式)、自動でのギヤシフトやEPBの作動までできるそうだ。
このように、先進安全装備では先々の規制やテストを見据えた機能が先行して用意されている。このことからもトヨタのヤリスにかける意気込みが伝わってくるのである。
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