スクランブラーってどんな意味? オフ車とは違うの?〈ドゥカティとかトライアンフとかBMWとか〉
- 2019/03/02
- MotorFan編集部 小泉 建治

Scrambler……ストリート系カスタムの王道であり、最近は欧州メーカーを中心にこのネーミングを名乗るモデルが多くリリースされている。アップマフラーやブロックタイヤでオフロードテイストに溢れ、それでいてどこか都会的でオシャレ。けれど、なぜにこれをスクランブラーって呼ぶの? いわゆるオフ車とはなにか違うの?
TEXT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)

オンロード車をベースにオフロードを走行可能に
スクランブルと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、緊急発進だろうか? 領空侵犯に対してスクランブル発進、とはニュースでよく聞くフレーズだ(なるべく聞きたくないけれど)。あるいは盗聴防止の周波数変換、という意味もある。有料チャンネルのスクランブル放送、といった具合だ。
だが、二輪で言うところのスクランブラーは、「よじ登る者、這いつくばって進む者」という意味を由来としている。ダートの坂道をぐいぐいと駆け上がるバイク、というところから命名されたらしい。
1960年代、日本はもちろん欧州や北米の自動車先進国でもまだまだ未舗装路が多かったが、本格的なオフロード車は存在していなかった。そこでオンロード用のバイクにブロックタイヤを履かせ、マフラー出口をカチ上げるなどして悪路走破性を高めたモデルが重宝されたのである。これがスクランブラーの始まりだ。

その後、サスペンションのストロークをたっぷりと採るなど、最初から悪路の走行を念頭に置いて開発されたオフロード車が普及すると、スクランブラーの存在価値は変化していく。
スクランブラーのベースはあくまでオンロード車であり、基本的ディメンションもそれに準ずる。だから激しい凹凸を乗り越えたり岩場を走り続けたりするのは苦手だが、一方でアメリカを中心に人気が高まっていたフラットダートレースでは、本格的オフロード車ほどの悪路走破性は必要とせず、依然としてスクランブラーのような車体構成が好まれていた。
したがってこの頃から、フラットダートトラッカーも含めてスクランブラーと呼ぶケースが多くなってきた。

やがてスクランブラーはオフロードテイストを漂わせたカスタムスタイルのひとつとして認知されるようになる。カフェレーサーと同様に、クラシックな雰囲気を醸し出しつつ、どこかオシャレかつ都会的であり、本気の性能が追い求められるオフロード車とは一線を画した存在になったのだ。
日本でもヤマハSRなどをベースにスクランブラーに仕立て上げるカスタマイズが80年代に流行し、欧州でも有名カスタムビルダーが数々のスクランブラーを手がけてきた。
そんななか、ヨーロッパでは2010年頃からメーカーが自ら往年のスクランブラーを現代流に復刻させたモデルをリリースし、にわかに人気が高まってきた。トライアンフ、ドゥカティ、BMWといった名門ブランドが、矢継ぎ早に現代版メーカー謹製スクランブラーをリリースし、今やひとつのカテゴリーとして確立された感がある。




- 1/2
- 次へ
|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
ジムニー特集
関東屈指のロングダートを制覇せよ! 秋鹿大影林道&万沢林道...
- 2019/08/17
- コラム・連載記事
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
スズキ・ジムニーシエラを測って測って測りまくる。高さは? ...
- 2019/08/14
- コラム・連載記事

結局、スズキ・ジムニーのリジッドアクスルは何がスゴイのか?
- 2019/07/01
- ニューモデル
オービス対策‼ 交通取締情報局

移動オービスは何km/hオーバーで光る? 最低検挙速度独断検...
- 2018/11/11
- TOPICS
みんながオービスと見間違えちゃうNシステムの怖さを検証!...
- 2017/10/02
- TOPICS

スピード超過が事故につながる首都高速道路のオービスポイン...
- 2019/09/10
- オービス情報
令和2年、ついに「あおり運転」の罰則も強化へ! どうなる!? ...
- 2019/09/08
- TOPICS