ミッドシップならではの熱問題に、新たな水冷システムを投入して対応! HKSが開発したホンダS660用水冷クーリングシステムを徹底検証【WEB OPTION最新パーツ情報】
- 2018/12/01
- WEB OPTION編集部

あらゆるクルマのチューニング&カスタマイズを手掛ける総合パーツメーカーのHKS。ホンダS660においても例外ではない。そんなHKSが開発した水冷式のオイルクーラーとインタークーラーに注目。WEB OPTIONが徹底検証した。

ハードに走るユーザーが増えてくると当然起こってくるのが、発熱の問題だ。
ホンダS660も例外ではない。当初はフットワークなどから展開を始めたパーツも、今ではユーザーに合わせてタービンなどハード指向のものが増えてきている。とにかくチューニングを求めるユーザーが多く、HKSではS660用に出した製品がヒットし続けているという。
S660の場合、吸気温度が高くなる傾向にあり純正のインタークーラーではキャパが不足しがち。フルノーマルであっても、少し走っただけで吸気温度は150度を超えてしまうことも。
となると、ECUが危険を察知してフェイルセーフが入り、本来の性能が発揮できない場合もある。また、場合によってはノッキングを誘発し、エンジンにダメージを与えてしまう恐れもある。
そんな状況を早期から確認していたHKSでは、当然大型のインタークーラーの開発を行ってきたが、装着スペースの制約が多いS660のエンジンルームでは、従来の空冷式インタークーラーでは納得のいく性能を発揮させることが敵わなかったという。
そこで発想を転換して開発を始めたのが、水冷式のインタークーラーだ。インタークーラーコアに専用の冷却システムを持たせることで、レスポンスを損なうことなく吸気温度を適性まで下げることに成功したのだ。

専用の経路を新設する水冷式ということもあり、システムは複雑化してコストも上がってしまう。しかし、その効果は歴然としたもの。空冷式ではどうしても下げることができなかった吸気温を、サーキット走行をしても50度台に抑えることができるようになったというのだ。当然、サーキットでの連続走行を行っても、ノックリタードが起こらなくなったことは確認済みだ。HKSでは、今後エンジンルームのスペースに制約のある車種に関しては、同様のシステムを構築することも考えていけるだろう。
そして、走行風による冷却が安定させにくかったオイルクーラーの装備に関しても同様の理論で水冷式を開発。オイルクーラーをフロントに付ければ空冷でも冷却効果を発揮できそうだが、そうなると経路が長くなって油圧の低下を引き起こしてしまうという。

油温に関しては水温と同程度まで下げて安定させることが理想のため、こちらはエンジン冷却水にバイパス経路を設けることでシステムを構築。やはり、サーキットでは100度を超えていたものが、95度程度に安定させることが可能となった。
水冷方式のクーリングシステムを改めて開発したことで新たな手法としての認識を高めたHKS。今後も新たに製品開発を進める車種に関しても、既成概念や既存のシステムにとらわれず、最適なパーツ開発を手がけてくれそうだ。
PHOTO:Hiroki Iwashima
<HKS S660用 水冷クーリングシステム>
水冷式オイルクーラーキット 29万8000円
水冷式インタークーラーキット 38万8000円

インタークーラー専用のラジエターをフロントに装備し、専用電動ウォーターポンプで冷却水を循環させることで、インタークーラーを冷却する。このシステムを投入することで、すぐに150度以上にまで上がっていた吸気温度が50〜60度で安定するようになり、エンジンのポテンシャルを安全に引き出せるようになる。

これは、GT100Rタービン早着者の走行テストの結果(HKS社内データ・サーキットテスト)。インタークーラー入口の温度は、走行開始後1分もしないうちに160度を超える。そしてノーマルインタークーラー、試作の空冷インタークーラーともに約5分でインタークーラー出口温度が90度に達し、フェイルセーフ(ノックリタード)が入ってしまい性能が大きく落ちる。その点、製品化された水冷式インタークーラーは、約55度で安定している。

こちらは水冷式のオイルクーラー。エンジン冷却水をコアに通しで油温を水温と同レベルに保とうという趣向で開発された。オイル経路が最低源で収まるため、油圧のドロップも発生しない。

こちらは、装着した車両で筑波サーキットTC2000を7周全開した時の油温データ。エンジンを通過したオイルは最高で105度まで上がっているが、オイルクーラーを通過することで約95度まで低下して安定。水温への影響もみられなかったという。
●WEB OPTIONではチューニング&カスタマイズ情報が満載です!
【コンパクト戦線異常あり!】的確なターボチューンで110psを達成! 【TRIAL S660】
【コンパクト戦線異常あり!】軽さを活かしたセットアップで仕上げられたEK9サーキット仕様【ZEROFIGHTER CIVIC TYPE R】
【DATSUN FAIRLADY】走りと快適性を追求して超レアなSRL311をイジくり倒すオーナーに乾杯
|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebフランクフルト・モーターショー2019

ついに来た! 新型ランドローバー・ディフェンダー降臨! Gク...
- 2019/09/10
- ニューモデル

〈新型ランドローバー・ディフェンダー〉新着写真続々! Gクラ...
- PR
- 2019/09/12
- ニューモデル

ホンダの100%EVモデル「Honda E」市販車がデビュー! 約348...
- 2019/09/10
- ニューモデル

コンセプト4は4シリーズの未来形!? BMWの超攻撃型デザイン現...
- 2019/09/10
- ニューモデル

フォルクスワーゲンの小型EV「ID.3(アイディ.3)」デビュー...
- 2019/09/10
- ニューモデル

「AI:Trailクワトロ」はアウディの示す近未来EVオフローダー...
- 2019/09/10
- ニューモデル
マツダ3特集

マツダ3セダン「間違いなく、いまもっとも美しいセダン!」 ...
- 2019/09/10
- インプレッション

日本仕様のSKYACTIV-Xは、なぜハイオク仕様で圧縮比15.0なの...
- PR
- 2019/09/09
- トピック
「マツダは裏切らない」実用性を失うことなく美しいデザイン...
- 2019/09/06
- コラム・連載記事
マツダ3 ファストバックXD:600km走ってその完成度は? 燃費...
- 2019/08/26
- インプレッション
マツダ3、人気のカラーは? パワートレーンは? ファストバ...
- 2019/08/29
- ニュース
マツダ3 ファストバックXD:vs VW ゴルフ 走り慣れた都内の...
- 2019/08/28
- インプレッション
ジムニー特集
関東屈指のロングダートを制覇せよ! 秋鹿大影林道&万沢林道...
- 2019/08/17
- コラム・連載記事
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
スズキ・ジムニーシエラを測って測って測りまくる。高さは? ...
- 2019/08/14
- コラム・連載記事

結局、スズキ・ジムニーのリジッドアクスルは何がスゴイのか?
- 2019/07/01
- ニューモデル
オービス対策‼ 交通取締情報局

移動オービスは何km/hオーバーで光る? 最低検挙速度独断検...
- 2018/11/11
- TOPICS
みんながオービスと見間違えちゃうNシステムの怖さを検証!...
- 2017/10/02
- TOPICS

スピード超過が事故につながる首都高速道路のオービスポイン...
- 2019/09/10
- オービス情報
令和2年、ついに「あおり運転」の罰則も強化へ! どうなる!? ...
- 2019/09/08
- TOPICS