逮捕と処罰は別問題。が、あまりにも説明が足りなさすぎる! 池袋死傷事故のドライバーは何でまだ逮捕されないの? 法律から紐解くその理由とは?【交通取締情報】
- 2019/05/22
- 「東新宿交通取締情報局」
逮捕しても警察が拘留できるのは、たったの48時間!
刑事訴訟法
第203条 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
5 第1項の時間の制限内に送致の手続をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
第205条 検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
2 前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。
3 前二項の時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。
4 第1項及び第2項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
第208条 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
2 裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を超えることができない。
というわけで、事件当日に警察官(司法警察員)が令状を取り病院で逮捕しても、48時間以内に重症のドライバーから事情聴取し容疑を固め、そのドライバー(被疑者)と書類、証拠物を検察官に送致(送検)するというのは、まず不可能だ。事実、当該ドライバーが退院したのは、事件から1か月後の、つい先日だ。
まっ、ある程度容疑ははっきりしているし、証拠物もふんだんにあるのだから、ドライバーの事情聴取抜きで48時間以内に無理矢理書類送検、という手もあるのだが、逆に、退院までの間に捜査を進めて、証拠をさらに強固なものにしようというもくろみもあったのかもしれない。
※検察の拘留制限時間は24時間だが、裁判所が認めれば、最大、20日間までは延長できる。
逮捕は単なる手続きの一種。処罰とは別問題なのだ!
ところが、この5/18、当該ドライバーが退院したにも関わらず、警察はあえて逮捕せず、任意の取調べを行ったという。国民のほとんどが、当然、退院したら逮捕されると思っていたにも関わらず、だ。なにしろ警察は、当該ドライバーが入院していることを理由に逮捕しなかったと言っていたのだから。さすがにこれでは、やはりなにか忖度が働いたと思われても仕方がない。事実、ネット上ではこの話題で持ち切りになっている。
ただし、よく考えてみれば、我々はどうしても犯罪を犯した者は逮捕&拘留され、起訴された上で
裁判で罰を受けるという図式に捕らわれがちだが、逮捕というのは、実は、あくまでも捜査上の手続きであり、法律にも定められているように「逃亡あるいは証拠隠滅の恐れがあるとき」以外は、あえて逮捕せずに送検→公訴するという方法もあるということだ。事実、特に交通死傷事故において、
ドライバーが逮捕されずに在宅起訴されて裁判で実刑判決を受けた例は、過去にいくらでもある。もちろん、「逃亡あるいは証拠隠滅の恐れ」がないのに逮捕された例も相当あるようだが、いずれにしても逮捕は捜査の必要十分条件ではないというのは事実。そういう意味では今回の警察のスタンスは、少なくとも法的には間違っているわけではないとも言えるのだ。
ただし、そこになにかしらの忖度が働いていたとしたら、それはまさに言語道断。だからこそ、警察はマスコミを通してでも、その理由を国民にはっきり説明するべきなのだ。このままでは警察に対する不信感がますます募っていくばかりだろう。
もちろん、当該ドライバーが行ったことは決して許されることではない。高齢とは言え然るべき処罰を与えるべきだ。が、今後も増加の一途を辿ることが明確な高齢者ドライバーに対する事故防止策が明らかに立ち後れている今、免許制度の見直しとともに、一刻も早く抜本的対策を講じなければ、また同じことを繰り返すことは目に見えている(事実、事件後のわずか1カ月で、全国で痛ましい事故が起こっている)。逮捕云々を取りざたするより、2度と理不尽な悲劇が起こらないように、行政、そして社会正義を守るべきマスコミ、そして我々ドライバーも、クルマ本位のゆがんだ社会を正常に戻すべく、行動を起こしていかなければならないだろう。

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