意外や意外、日本は世界でも最もSUV比率が低い! 大人気のコンパクトSUV。世界のマーケットはどうなのか?
- 2017/04/27
- MotorFan編集部
いま日本で一番売れているSUVは……トヨタC-HRだ。
2017年3月の登録台数が1万6816台で、ノート、プリウス、アクアに続く第4位。
スバルXVの発売で、さらに人気が上昇するコンパクトSUV。
では、世界ではどうか?
IHS Markit Automotiveの川野義昭氏(日本・韓国ビークル・セールス・フォーキャスト マネージャー)にコンパクトSUVのマーケット予想&分析をお願いした。
意外や、日本はSUV比率が非常に低いマーケットなのだ。
なぜか?
「日本に関しては、他国と比べて高いMPV比率が要因のひとつと考えます。小型車でも特にスライドドアを中心としたMPV車種が豊富で各メーカーもMPVタイプ(いわゆる背が高く、特に2列目の乗り降りがしやすく使い勝手のよい実用的なミニバン)を何らかの形で持っており実際に市場でも人気を博していることが理由となります。特に駐車場の狭い日本では子育て世代におけるユーザーの層の厚さや子供がいきなりドアを開けて隣に止めてある車をキズつけないように親(ユーザー)が配慮するなど特有な事情も関連しているとみられます」(川野氏)
というように、MPVの比率が16年で21.8%と高いのが日本市場の特徴だ。ちなみに、グローバルでのB/Cセグメントに占めるMPVの割合は6.0%に過ぎない。
「確かに一部にはデザイン上の観点でミニバンを敬遠するようなファミリー層は存在するとみられますが、世界に比べてSUVが嫌いな層が日本に特段多いというわけでもなさそうです。もちろん、マツダのように海外比率の高まり等でMPVからSUV注力のシフトが見られるなど環境変化・商品の再構成はありますが、上記の理由で間接的には一部MPVとSUVが競合(あるいは棲み分け)している珍しい市場のひとつかと思われます」(川野氏)
一方世界最大市場の中国は?

一方の中国は16年の38%から25年には43%にまでコンパクトSUVの比率が上がる。B/Cセグの販売台数も25年には2100万台以上となるから43%では、900万台を超える。つまり日米のB/Cセグが全部SUVになったよりも多くのコンパクトSUVが中国で売られるわけだ(ちなみに16年の日本の総販売台数が約508万台)。
こうなると、最大市場、中国が未来のコンパクトSUVを左右することになるのでは? 平たく言えば、中国人好みのSUVを日本のユーザーは押しつけられることになるのでは? という懸念が湧いてくる。なにせ、25年の日本のコンパクトSUVの予想販売台数はわずか33万台に過ぎないのだから。
これに対して川野氏は、
「おっしゃるとおり、中国市場は規模が大きいため、グローバルに与える影響は無視できないと見られます。ただし開発に関してはメーカーの中国市場への傾倒・注力度合がどのくらいかということにもつながると思われ、一概に中国向け一辺倒というわけでもないかもしれません。
しかも最近存在感を増しつつあるのは中国地場系のメーカーですので、地場系であれば中国国内向けに中国ユーザー用に最も好まれるモデルになるように開発し、外資系メーカーは中国で販売する分に関しては一部改良などを加えたり、現地ブランドを推進することでいわゆるグローバルモデルとの線引きをするような考え方もあるとみられます。
もちろん、より中国市場に注力するメーカであれば中国市場で受けるようなタイプになる可能性もあります。ある程度市場により作り分けができそうであれば区別し、そうでない場合には市場への注力次第ということかとみられます。
また、小型車という枠組みに限って言うとやはり政府としては省エネ、低排出といった環境の観点からこうした方針を何らかの形で推進していく必要があり、このボリュームゾーンとなるセグメントでメーカー(地場系)をいかに支え産業として強化していくかということになりますので、中国における小型車支援体制はどのような形であれ基本政策と言えます」
と分析する。

「アメリカは、SUVの本家という意味では発祥の地であり、古くから多用途に使われ、車のサイズにかかわらず受け入れられる土壌としてすでにあったということかと思われます。近年のダウンサイジングやモノコック系の都市型クロスオーバーSUVがトレンドとなり小型SUVも投入され消費者の選択肢が増えたことも貢献しているとみられます。普及ブランドだけではなく、高級プレミアムブランドにも広がり都会的であり、中型以上のSUVよりも値段も比較的手ごろな小型SUVは手が届きやすいといった側面もあるかと思われます」(川野氏)
コンパクトSUVで急成長が予想されるのが、ロシアとインド。なぜ、ロシアでコンパクトSUV市場が伸張するのだろう?
「ロシアでコンパクトSUV市場が拡大するのは、基本的には世界的なトレンドに沿った形ですが、とりわけSUV比率が高くなっているのはその商品由来の使い勝手の良さがロシア特有の道路事情やライフスタイルにマッチしており、その良さが消費者に受け入れられつつあるといった傾向を示しているとみられます。
具体的には悪路走破性が必要とされる郊外の道路事情は舗装されていないところもあり、また舗装されていても状態がよくないこともあり、ドライバー・ユーザーとしては運転時にできるだけ高い運転ポジションで見渡せるような着座位置を好む傾向があるということと、週末には郊外の小さな別荘へ車で小旅行へ行く習慣があるため、都市部から田舎町へ行く際の道路を無理なく運転するのに安心感があるなどの理由です。
さらに都市部においても一部路上駐車する際には縁石に乗り上げて歩道にまではみ出して無理やり駐車するなど、ロシア特有の駐車事情の悪さから最低地上高の比較的高い車種を買う傾向にあるといった背景があるようです」(川野氏)
IHS Markit Aubomotiveの予想によれば、B/CセグメントのSUV比率は、2016年の32%から25年には37%まで拡大するという。B/Cセグメントの販売台数が16年の2900万台から6700万台まで拡大するだけに、台数ベースで言うと、約930万台から2480万台まで増加するわけだ。このマーケットで、勝ち残らないと自動車メーカーとして生き残れない? トヨタC-HR、スバルXVなど続々登場するコンパクトSUVの背景には、こういう市場予想があるのだ。
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