TT(ツーリスト・トロフィー)の名に込められた深すぎる意味 なぜアウディTTには二輪レースのネーミングが与えられたのか?【Audi TT 生誕20周年特別企画その2】
- 2018/08/13
- MotorFan編集部 小泉 建治
今年で生誕20周年を迎えたアウディTT。
このTTという名の由来を、みなさんご存知だろうか?
「有名なマン島TTレースに何かゆかりがあるのでは……」
そんな、うっすらとした思いを多くの人が抱いているかも知れない。
ではなぜ四輪スポーツカーに二輪レースの名前が与えられたのだろうか?
TEXT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
アウトウニオン時代にマン島TTレースを制していた!
アウディTTがなぜ「TT」を名乗っているのか? 知っているようで知らない人は多いだろう。TTが「ツーリスト・トロフィー」の略であることは、当初からアナウンスされていた。ということは、おそらくかの有名なマン島TTレースに由来しているのだろう。筆者はなんとなくそう解釈していたし、おそらくほとんどの方がそうであろう。
もちろんマン島TTは二輪のレースである。そこで筆者は、「実は昔はマン島TTレースにも四輪クラスがあったのではないか」とか、「有名なのは二輪レースだけれど、マン島では二輪とは別の時期に四輪レースもやっていて、そちらもTTレースと呼ばれているのではないか」などと勝手に想像していた。マンクスラリーの別名かな、とか……。
そうではない。実はアウディは昔、“二輪で”マン島TTレースを制していたのだった!
「アウディが制していた」というのは、ちょっと煽り気味に過ぎる表現だったかもしれない。
正しく言うと、アウディの前身であるアウトウニオンを形成していたメーカーのひとつであるDKW(デーカーヴェー)が、マン島TTレースを制していたのだ。
アウディがもともと「アウトウニオン」なるメーカーを前身としているのは有名な話だ。ホルヒ、アウディ、ヴァンダラー、そしてDKWの4つのメーカーが合併し、1932年に設立された。
当時、世界最大の二輪メーカーだったDKWは、2ストローク水冷2気筒エンジンを搭載したSS250というマシンでマン島TTレースに参戦し、1938年の「ライトウェイトTTクラス」でエヴァルト・クルーゲのライディングによって見事に優勝を飾っていたのだった。
このDKW SS250なるモデルについて、もう少し詳しく説明しよう。
エンジンは2ストロークの並列2気筒250ccで、当時としては珍しく水冷だった。最高出力22hpを4800rpmで発生し、4速リターン式トランスミッションを備えていた。ちなみに当時よく見られたようにペダル配置は左右が現代と逆で、右側がシフトチェンジペダル、左側がリヤブレーキである。
フレームはスチール製チューブラータイプで、車重は110kgに過ぎず、加速はさぞかし強烈だったに違いない。最高速度は150km/hだったとされている。
優勝した1938年のマン島TTレースでクルーゲが記録した平均速度は126.3km/hだったという。
後にアウトウニオンに吸収されるNSU(エヌエスウー)もかつては二輪メーカーであり、マン島TTレースに由来を持つ「NSU Quickly TT」というモデルを1960年代に販売していた。
こちらは50ccの空冷単気筒エンジンで、最高出力はわずかに1.7hp、最高速度は40km/hに過ぎない。このモデルでマン島TTレースに参戦したというわけではなく、あくまで「イメージした」というものだ。
だがNSUもマン島TTレースでは数々の実績を残しており、とくに1954年には「ライトウェイトTTクラス」で1位から4位を独占しており、「TT」の名に深いゆかりを持つメーカーのひとつと言っていいだろう。
このように、現在のアウディを形成する前身ブランドのふたつ、DKWとNSUがそれぞれマン島TTレースで勝利を収め、それぞれ「TT」の名を冠したモデルを販売していた。
つまりアウディTTの「TT」は、そんな栄光の歴史を物語る意義深いネーミングだったのだ。20年の歴史を刻んできたアウディTTだが、見方によってはもっともっと長い歴史を背景に持っているのである。
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
フランクフルト・モーターショー2019

ついに来た! 新型ランドローバー・ディフェンダー降臨! Gク...
- 2019/09/10
- ニューモデル

〈新型ランドローバー・ディフェンダー〉新着写真続々! Gクラ...
- PR
- 2019/09/12
- ニューモデル

ホンダの100%EVモデル「Honda E」市販車がデビュー! 約348...
- 2019/09/10
- ニューモデル

コンセプト4は4シリーズの未来形!? BMWの超攻撃型デザイン現...
- 2019/09/10
- ニューモデル

フォルクスワーゲンの小型EV「ID.3(アイディ.3)」デビュー...
- 2019/09/10
- ニューモデル

「AI:Trailクワトロ」はアウディの示す近未来EVオフローダー...
- 2019/09/10
- ニューモデル
マツダ3特集

マツダ3セダン「間違いなく、いまもっとも美しいセダン!」 ...
- 2019/09/10
- インプレッション

日本仕様のSKYACTIV-Xは、なぜハイオク仕様で圧縮比15.0なの...
- PR
- 2019/09/09
- トピック
「マツダは裏切らない」実用性を失うことなく美しいデザイン...
- 2019/09/06
- コラム・連載記事
マツダ3 ファストバックXD:600km走ってその完成度は? 燃費...
- 2019/08/26
- インプレッション
マツダ3、人気のカラーは? パワートレーンは? ファストバ...
- 2019/08/29
- ニュース
マツダ3 ファストバックXD:vs VW ゴルフ 走り慣れた都内の...
- 2019/08/28
- インプレッション
ジムニー特集
関東屈指のロングダートを制覇せよ! 秋鹿大影林道&万沢林道...
- 2019/08/17
- コラム・連載記事
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
スズキ・ジムニーシエラを測って測って測りまくる。高さは? ...
- 2019/08/14
- コラム・連載記事

結局、スズキ・ジムニーのリジッドアクスルは何がスゴイのか?
- 2019/07/01
- ニューモデル
オービス対策‼ 交通取締情報局

移動オービスは何km/hオーバーで光る? 最低検挙速度独断検...
- 2018/11/11
- TOPICS
みんながオービスと見間違えちゃうNシステムの怖さを検証!...
- 2017/10/02
- TOPICS

スピード超過が事故につながる首都高速道路のオービスポイン...
- 2019/09/10
- オービス情報
令和2年、ついに「あおり運転」の罰則も強化へ! どうなる!? ...
- 2019/09/08
- TOPICS
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報

アウディ TTクーペ
2.0TFSI 1オナ VコックP Bカメラ LED 認中車
中古価格 317万円

アウディ TTクーペ
2.0TFSI HDDナビ パドルシフト 1年保証
中古価格 99万円

アウディ TTクーペ
1.8T 5MT ターボ車 革シート
中古価格 18万円

アウディ TTクーペ
1.8TFSI 19インチAW ディーラー整備記録簿
中古価格 218万円

アウディ TTクーペ
1.8TFSI Sラインコンペティション 純ナビ Bカメラ
中古価格 228.9万円

アウディ TTクーペ
1.8TFSI Sラインコンペティション
中古価格 258万円