RFが見せてくれるスポーツカーの愉しさには他の何者とも異なる価値がある マツダ・ロードスターRF、スポーツカーとしての評価は?vs BRZ/124スパイダー/ND型
- 2019/03/29
- MotorFan編集部

スポーツカーとしての走りにターゲットを絞り、マツダ ロードスターRFとライバル車の試乗インプレッションを比較。2.0ℓスポーツカーとしてのスバルBRZ、ベースシャシーを同じくするアバルト124スパイダー、そしてロードスターRFの兄弟たるソフトトップ版ロードスターの3台と乗り較べてみた。
REPORT●河村康彦(KAWAMURA Yasuhiko)
PHOTO●神村 聖(KAMIMURA Satoshi)/平野 陽(HIRANO Akio)/宮門秀行(MIYAKADO Hideyuki)
※本記事は2017年1月に取材したもので、登場する車両は2018年夏のマイナーチェンジ前のモデルです。
ロードスターの追加モデルにとどまらないRFの魅力
日本のための日本のクルマは、軽自動車とミニバンばかり……思わずそんな愚痴をこぼしたくなる状況の下、そうした停滞感を一気に吹き飛ばしてくれそうな魅力的なモデルが現れた。その名はマツダ・ロードス ターRFだ。
このモデル、有り体に言ってしまえば「既存のマツダ・ロードスターの追加バージョン」に過ぎない。新採用のルーフシステムがトップパネル部分のみを格納可能とするリトラクタブル式、と言う時点で、「リヤのピラーが格納されないのに、“ロードスター”を名乗る資格があるのか!?」と突っ込みを入れる人が現れそうな1台でもある。
けれども、その車名の由来が”リトラクタブルファストバック“にあると知り、美しいスポーツカープロポーションの実現にとことん拘った作品、と聞けばその瞬間に大きな賛辞を送りたい気持ちに変わる人も少なくないはず。
そう、ロードスターRFの魅力はまず、拘りに拘り抜いたファストバックのプロポーションにこそある。例え車名に多少の“形容矛盾”があったとしても、ソフトトップ版とは全く異なる魅力的なシルエットを実現させたことに、このモデルの第一の存在価値が認められるということだ。
86/BRZという日本の貴重なスポーツモデルも、ファストバックプロポーションを備えるという点では、ロードスターRFと共通項の持ち主だ。ロードスターRFがリトラクタブルルーフを備えるのに対して、86/BRZは完全なるクーペボディ。全長×全幅×全高の3サイズも、いずれもロードスターRFを上回る。
が、そうした大きさも今のご時世からすれば、何とか「コンパクト」という表現が使えそう。5.4mという最小回転半径も、軽自動車にすら匹敵しようというRFのデータには及ばないものの、それでも俯瞰視で前後の絞り込みが効いたボディの造形と相まって、実際に扱うと「小回りが利くナ」という印象を十分に抱くことができる仕上がりだ。
すなわち、日本で乗るのにジャストなサイズ観が、これらのモデルの大きなセールスポイント。週末のみならず、毎日の相棒としてもストレスなく付き合うことができるというわけだ。
ロードスターRFの内装からも感じさせる大人のための味わい
ところでロードスターRFの場合、ソフトトップ仕様に対して、インテリアのつくり込みにより注力していることも、両モデルが異なる価値観を擁することを示す大きな要素。率直なところその仕上がりは、特に上質な素材感が印象に残るといったものではない。
けれども、色や触感などのつくり込 みから、“大人のためのロードスター”という雰囲気をより強く味わわせてくれるのは確か。ソフトトップ版に対して明確に高い値付けが与えられたことを、一瞬で納得させる重要なポイントともなっている。
一方、やはり小部屋感覚が強い86/BRZのキャビンだが、それでもロードスターRFほどに“クルマを着る感じ”が伴わないのは、やはりこちらには後席が存在し、その分空間のタイトさが薄くなっているゆえだ。2012年のデビュー時から現在に至るまでに実施されたリファインにより、当初よりも確実な向上は認められるものの、それでもまだプラスチッキーな雰囲気が残るインテリアの仕上がりは、ロードスターRFに対して今ひとつ見劣りする印象は否めない。
端的に言ってしまえば、86/BRZにはあくまでも「走ってナンボ」という、よりプリミティブなスポーツモデルらしいクルマづくりのスタンスが感じられるもの。オープンとクローズというふた通りのデザインを実現できる点も含めて、“所有”という行為そのものにより大きな歓びを享受出来るのが、ロードスターRFの特徴とも言えそうだ。
そんなロードスターRFや86/BRZに比べると、「これこそがオープンモデルの元祖」というイメージが否応なく強く感じられたのが、ソフトトップを備えた“オリジナル”のロードスターと124スパイダーだった。
124スパイダーが、エンジン以外の部分にはマツダ製アイテムを用い、ロードスターと同じ工場で生産される“広島産”のイタリア・ブランド車であることはすでによく知られている事柄。それゆえ、基本造形の共通項が多いインテリアなどに“マツダの香り” が強く感じられるなど、ちょっと残念な部分もあるのは事実ではあるものの、エクステリアデザインに関しては完璧なまでに独自の個性が強くアピールされているのは大きな見どころだ。
マツダ・ロードスターの、何とも情感豊かでピュアなスポーツカーらしいエクステリア・デザインには、すでに世界から多くの絶賛の声が寄せられている。
だが、そんな“出典”とはボディの骨格や多くのメカニカル・コンポーネンツを共有した上で、歴史あるDNAの継承を感じさせる独自性をアピールする124スパイダーのスタイリングも、大きな賛辞をもって称えたくなるオリジナリティに富んだ仕上がり。こうすることで、ブランドの独自性が単なるディテールのみからではなく、全体のプロポーションや雰囲気からしっかりアピールされている点も見逃せない。
「マツダ・ロードスター以上にルックスが気に入ったので、迷うことなくこちらを選んだ」と、そんな声が聞かれても全く不思議に感じない出来栄えを示すのが、124スパイダーのデザインなのだ。
こうして、2種類のマツダ・ロードスターと124スパイダー、そしてBRZをドライブした時に、それぞれから得られる乗り味が、これまで述べて来たような見た目が放つ雰囲気としっかりリンクをしたものとなっているのは、とても興味深い事柄だった。
すなわち、いかにもライトウエイ トスポーツカーらしい軽快感こそが持ち味であるオリジナルのマツダ・ロードスターに対して、それに加えて多少のGTカー的要素の上乗せが感じられる124スパイダー。さらに、それらとは一線を画したより硬派なピュアスポーツモデル的テイストが強いBRZに、見ても乗ってもソフトトップ版に対しより上質で大 人びた雰囲気を味わうことができるのがロードスターRF……と、大別をすればそうした基本イメージを受ける。
より具体的に言えば、ボディの剛性感に最も富んで、FRらしく「アクセル操作でコーナリングフォームをつくり出していく」という感覚を最も顕著に味わえたのがBRZ。特に、今回のようにMT仕様をチョイスすると、シフトワークまでを含めたドライバーの操作の“一挙手一投足”が、そのままピュアにクルマの挙動に反映されるという点は、スポーツカーフリークにとっては堪らない魅力と映るに違いない。
今回用意されたモデル中では、最も“サーキットの香り”を感じさせられたのもこのモデル。それゆえに乗り味のしなやかさにはやや欠ける部分もあるものの、それもまたこの期に及んで“こうしたモデル”を選ぼうというユーザーには、好意的に受け取られる点であるはずだ。
■マツダ ロードスターRF RSグレード

ロードスターRFの魅力のひとつは、やはり2.0ℓエンジンがもたらす走り。ソフトトップ車より車重は若干重いが、トルクの太さはそれを補って余りある。「RS」は最もスポーティ寄りのグレードで、レカロ製シートを装備し、ブレンボ製キャリパーもオプションで選べる。
直列4気筒DOHC 1997㏄ 158㎰/6000rpm 20.4㎏m/4600rpm
車両重量:1100㎏
車両本体価格:373万6800円
■マツダ ロードスターS スペシャルパッケージ(6速MT)

ロードスターRFと124スパイダーのオリジンたるND型ロードスター。「手の内感」というロードスター本来の魅力を研ぎ澄ませた走りは、どんな速度域でも操る楽しさを感じさせる。片手だけで簡単に開閉できるソフトトップのように、走り以外の進化も見逃せない。
直列4気筒DOHC 1496㏄ 131㎰/7000rpm 15.3㎏m/4800rpm
車両重量:1010㎏
車両本体価格:270万円
■アバルト 124スパイダー(6速MT)

ロードスターのプラットフォームを用いながら、1.4ℓターボエンジンとオリジナルのエクステリアで独自の世界を築き上げたアバルト。内装もマテリアルのチョイスやカラーセレクトで、ロードスターとは異なる世界のテイストを色濃く打ち出している。
直列4気筒DOHCターボ 1368㏄ 170㎰/5500rpm 25.5㎏m/2500rpm
車両重量:1130㎏
車両本体価格:388万8000円
■スバル BRZ GT(6速MT)

2012年のデビュー以来、熟成を重ね続けてきたBRZ。16年の大幅改良ではボディ補強による剛性アップやショックアブソーバーの内部構造変更などで、よりリニアな走りを手に入れた。さらにザックス製ダンパーやブレンボ製キャリパーを装備した「GT」も追加。
水平対向4気筒DOHC 1998㏄ 207㎰/7000rpm 21.6㎏m/6400-6800rpm
車両重量:1250㎏
車両本体価格:331万5600円
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