ジープ・コンパスの2017年モデルから採用 ZF、コラムアシスト式電動パワーステアリングをアメリカ市場へ

2017/08/14
Motor Fan illustrated編集部

ZFのコラムアシスト式電動パワーステアリング・システムは、燃費の向上、高度な機能の提供に役立ち、自動運転の重要な役割を果たす。

ZFは、コラムアシスト式電動パワーステアリング（EPS）をアメリカ市場に初導入した。採用車種は、ジープ・コンパスである。

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従来、油圧式、あるいは電動油圧式だったパワーステアリング・システムの電動化が顕著だ。かつては、コンパクトカー、軽自動車などが電動パワーステアリング（EPS）を採用し、ステアリングフィールを重視する上級モデルは、油圧式パワーステアリングという時代もあった。しかし、現代では大半のクルマは、EPSを採用するに至っている。

その背景にあるのは、厳しくなる燃費規制だ。モード燃費を計る際は、ステアリングを切る必要はないのに、油圧式パワーステアリングの場合、直進状態であっても、いつでもステア操作をアシストするための油圧をポンプで作らなくてはならない。これはモード燃費に悪影響がでる。一方のEPSは、必要な時だけ電気モーターでアシストするので、モード燃費計測時の燃費に影響を与えない。

また、最近の高度運転支援システム（レーンキープアシストや、レーンセンタリング）をコントロールするには、EPSのほうが都合がいい、という理由もある。

EPSにもアシストモーターの位置、アシストの仕方などでいくつかのタイプがある。
もっとも一般的なのが、コラムアシスト式である。車室内にユニットを配置できるので、レイアウトが容易で、ユニットもモジュール化しやすいので、コンパクト〜スモールクラスに適しているが、最近ではより大きな車両にも採用されるようになってきた。

「最新のコラムアシスト式電動パワーステアリングの導入で、ZFは、自動車メーカーとその顧客にコストと環境性能というベネフィットを提供できる」とZFのThilo Bitzer氏（Vice President Steering Engineering for the Active and Passive Safety Technology Division ）は、プレスリリースの中で語っている。

「最新のEPSは、コンベンショナルなラック&ピニオンのステアリングシステムより最大４％の省燃費を実現できる」としている。

ここで言うコンベンショナルなラック&ピニオンのステアリングシステムとは、おそらく「油圧式」あるいは「電動油圧式」のパワーステアリングのことを指すと思われる。

さらに、電動パワーステアリングをFCA（フィアット・クライスラー）がZFのカメラ技術の助けを借りて多数の車両に実装したレーンキープアシスト/レーンセンタリングなどと統合することができる。このシステムは、横風に対するステアリング修正や速度感応式ステアリングなどのさらなるメリットを提供し、より低速での補助（パーキングマヌーバなど）と、より高速なステアリングフィールの強化に役立つ。

「EPSは、将来のセミ自動運転（Semi-Automated Vehicle）や完全自動運転で重要な役割を果たす。ZFのEPSは、すでにシステムが失陥した際の冗長回路と機能を備えており、フェイルセーフに対応している」とBitzer氏は語る。

ZFが最初にEPSテクノロジーの生産を開始したのは、2001年のことだった。以来、世界中で3000万台以上のクルマに搭載されてきたとプレスリリースに書いてある。
ZFは、ボッシュとの合弁企業でZFレンクシステム（ZFLS GmbH）というステアリングシステムの会社を持っていたが、TRWを買収した際に、ZFLSの全株式をボッシュに売却した。現在のZFのステアリング・システムは旧TRWのもので、2001年というは、TRWがEPSの生産を開始した年である。

このコラムアシスト式電動パワーステアリング・システムは、メキシコ、ブラジル、中国、ポーランドで生産され、FCAに販売される。

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