WABCOのOptiFlow Side Wingsで燃費を大幅改善 WABCO:トレーラーの空力を大きく改善する新デバイス
- 2017/08/30
-
Motor Fan illustrated編集部

全世界で厳格化が進められる環境規制への対応は、トラックやバスのような大型商用車にも例外なく降りかかる切実な問題だ。OptiFlow Side Wings(以下Side Wings)は、ワブコ(WABCO)による省エネルギー化を目的とした大型トレーラー向けの空力パーツである。
TEXT:高橋一平
全世界で厳格化が進められる環境規制への対応は、トラックやバスのような大型商用車にも例外なく降りかかる切実な問題だ。これまでもトランスミッションの多段化とその自動制御化や、SCRのような排出ガスの後処理装置の付加といった対策がとられてきたわけだが、規制の焦点がCO2排出量に向けられるようになったことで、新たな局面を迎えようとしている。大型商用車の目的である大量の人員や貨物の輸送において、エネルギーの消費はいわば宿命、エネルギー消費とほぼイコールといえるCO2排出量の規制は、輸送能力に関わる切実な問題だからだ。
ここに紹介するOptiFlow Side Wings(以下Side Wings)は、ワブコ(WABCO)による省エネルギー化を目的とした大型トレーラー向けの空力パーツ。
WABCOはエア駆動式ブレーキの発明者であるジョージ・ウェスティングハウスが1869年に創業した、長い歴史を持つ老舗メーカー。大型商用車用のエアブレーキシステムを中心に、サスペンションやESC、ADASシステムまで、幅広い範囲の部品を手がけている。




トレーラーに限らず貨物輸送用のトラックでは、規定で定められた全長、全幅、全高のなかで最大限の荷室容積と積載性を確保することが求められる。そのため多くがシャシーの上にコンテナ状のカーゴスペースが載るというかたちを採っているのだが、寸法の制限に基づくこの基本形態に手をつけることは難しく、それゆえに空力的アプローチも皆無に等しい状態だった。このSide Wingsは、シャシー下部の側面部分にパネル状のスカートを付加するシンプルな構造で、トレーラーの基本構成を変更する必要がない点が、大きな特徴のひとつとなっている。
そして、もっとも注目すべきはその効果だ。高速道路を85km/hで走行する際には100kmあたりの燃料消費量を1.5ℓ削減(80km/hでは1.3ℓ削減)。トレーラーの燃費はリッターあたり数キロというから、燃料削減効果は数パーセント単位ということになる。コンマ数パーセント単位で効率向上要素が積み上げられている現在において、これは飛躍的ともいえる成果だ。
ちなみに、シャシー下部をカバーするサイドスカートはこれまでにも存在していたのだが、それには空力的な効果はほとんど期待できず、どちらかというと加飾的な目的だった。これに対し、Side Wingsはその名が示すように翼形状を持つ空気導入部(Air Conductor)を先端部に備えており、外側部からシャシー下部に空気を導く際にその前縁部分で流速を高め、前方方向への力を生み出す。タイヤ部も覆うために外側からタイヤに巻き込まれる空気も減り、ドラッグも大幅に減少。目には見えない空気の流れを利用するということで、その開発にはCFD(流体シミュレーション)技術が用いられた。
トレーラーが持つ既存の構成に手をつけず、最小限のパーツ付加で最大限の効果を引き出すために、CFDは必須だったわけだが、そこにはエアブレーキシステムなどをはじめ、トラック、トレーラー用のコンポーネントを数多く手がける同社ならではの知見とノウハウが活きていることは言うまでもない。CFDはあくまでツールであり、使い手によって結果が大きく変わるのは、よく知られた事実だ。同社では効果を表す前述の数値(燃料消費の削減値)を実測でも確認、CFDとの間に大きな乖離は認められなかったという。
CFDを駆使して空力を作り込むとは、まるでレースカーのようだが、そこには規制が待ったなしで迫る、現在のトラック、トレーラーが置かれた状況も窺える。同社では他にもOptiFlow Tailと呼ばれる荷室後端のドラッグを低減させる装置も用意。これからは、トラックやトレーラーにも空力の工夫が求められる時代なのだ。
|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanweb自動車業界 特選求人情報|Motor-FanTechキャリア
「自動車業界を支える”エンジニアリング“ 、”テクノロジー”情報をお届けするモーターファンテックの厳選転職情報特集ページ
日系大手自動車部品メーカーの研究開発に特化した企業
研究開発リサーチャー
年収
480万円〜1200万円
勤務地 東京都渋谷区
この求人を詳しく見る
株式会社アイシン
物流サービス企画開発
年収
450万円〜700万円
勤務地 愛知県岡崎市岡町字原山6番地18岡崎工場...
この求人を詳しく見る
「自動車業界を支える”エンジニアリング“ 、”テクノロジー”情報をお届けするモーターファンテックの厳選転職情報特集ページ

日系大手自動車部品メーカーの研究開発に特化した企業 研究開発リサーチャー
年収 | 480万円〜1200万円 |
---|---|
勤務地 | 東京都渋谷区 |
株式会社アイシン 物流サービス企画開発
年収 | 450万円〜700万円 |
---|---|
勤務地 | 愛知県岡崎市岡町字原山6番地18岡崎工場... |
学生フォーミュラ2019:全車両カタログ
E27:神奈川工科大学
E21:National Taipei University of Technology
E26:日産京都自動車大学校
E18:National Cheng Kung University
E25:成蹊大学
E3:豊橋技術科学大学
フランクフルト・モーターショー2019

ついに来た! 新型ランドローバー・ディフェンダー降臨! Gクラス...

〈新型ランドローバー・ディフェンダー〉新着写真続々! Gクラスの...
PR

ホンダの100%EVモデル「Honda E」市販車がデビュー! 約348万円...

コンセプト4は4シリーズの未来形!? BMWの超攻撃型デザイン現る【...

フォルクスワーゲンの小型EV「ID.3(アイディ.3)」デビュー! 3...

「AI:Trailクワトロ」はアウディの示す近未来EVオフローダーのカ...
ジムニー特集
関東屈指のロングダートを制覇せよ! 秋鹿大影林道&万沢林道(酷...
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計ってみた...
スズキ・ジムニーシエラを測って測って測りまくる。高さは? トラ...

結局、スズキ・ジムニーのリジッドアクスルは何がスゴイのか?
オービス対策‼ 交通取締情報局

移動オービスは何km/hオーバーで光る? 最低検挙速度独断検証!...
みんながオービスと見間違えちゃうNシステムの怖さを検証!【交...
