AGSハイブリッドの威力 【試乗】スズキ・スイフトのAGSハイブリッド仕様、その実力を試す!
- 2017/07/28
- Motor Fan illustrated編集部 萬澤 龍太
スズキのAMTであるAGSにモータを追加したストロングハイブリッド仕様は
ソリオに搭載されてまず登場。これだけで終わるはずがないよね──という
期待を裏切らず、世界戦略車であるスイフトに載せて市場へ送り出してきた。
変速機にシフトショックは必要か。個人的な意見では、あってもなくてもどちらでも構わない。むしろ、重要なのは変速に要する時間が短いかどうか、である。
CVTが多く用いられる日本市場では無段変速であることが美徳という雰囲気を自動車メーカーが強く打ち出していて、しかし多くのユーザーは実のところ無段か有段かということにはさほど頓着しておらず、そして無段変速であることのメリットは実際のところ、エンジンの最適燃費効率点を確実にトレースできる変速曲線にあることが第一義、というのがCVTを取り巻く環境だと思う。
しかしCVTは変速時にバリエータ&ベルト(あるいはチェーン)の変速比を変えている最中の効率に劣るのが最大のネックで、これが無段変速の美点とバーターとなっているのが現状。ベルト(あるいはチェーン)をクランプするための高い油圧保持にエネルギーを必要とするところも課題のひとつで、勢い強度確保のために重量が嵩む結果にもなっている。
これらを解決すべくスズキはオートメーテッドMT(AMT)を開発。アジア市場を皮切りに、なんと無段変速が主流(と多くの人が信じている)の日本市場車種への搭載を英断する。軽く、伝達効率に富み、そして安い。
しかしスズキはAGS単体で終わらせていなかった。モータライズである。しかも、出力軸に直接トルク付加する構造を採ってきた。なんとインテリジェントな手段だろうか。
マイルドハイブリッドと言われる多くの手段は、スターティングデバイスに置き換えてモータを置く方策を採っている。エンジントルクをクラッチで断続、モータトルクと分割/混合して変速機へ流し、ドライブシャフトを回転させる。しかしそうすると、ハイブリッドの最大の美点である回生時に、
車輪〜ドライブシャフト〜デフ〜変速部〜モータ
という流れとなり、どうしても効率が悪い。ギヤ列を連れ回りさせなければならないからだ。いっぽうで、AGSのように出力軸へ直接トルクを付与するなら、
車輪〜ドライブシャフト〜モータ
これで完結である。変速機内部の歯車の供回りを回避できるわけだ。AGS本体のケースにボルトブラケットなどの小変更は必要なものの、基本的にモータは変速機前部にポン付け。二段のチェーンドライブを介し、少々の減速をともなってファイナルギヤにトルクを送る構造とした。エンジニア氏は「ここしか置くところがなかったんですよ」と笑うが、したたかである。PB05A型モータの出力は10kW。バッテリの容量と回生エネルギーの漏れない回収効率とを照らし合わせ、選定された。そのバッテリはリチウムイオン式で、インバータを介して100Vの交流電圧をモータに印加する。ちなみにモータ重量は8.5kg、バッテリ重量は23kgである。
AMTで気になるのは先述のようにアップシフト、とくに1速〜2速〜3速である。街中で周囲のクルマに合わせて走り出すようなシーンにおいては、ギヤの掛け替え時にシステムがカチャンカチャンと音を立て、一瞬無音状態になるのがわかる。通常のAMTならばここでクラッチ解放によってトルク切れが生じて身体や車体全体が前のめりになり、クラッチ締結が完了すると今度はうしろのめりになるという動きが出る。ソリオは、その前のめり/うしろのめりのアクションがごくわずかに抑えられている印象だった。
今度のスイフトは、音だけ。トルク切れとクラッチ解放締結がされているなとわかるのだが、その間をモータがソリオよりさらにうまく満たしている。ステップATの変速感覚と言えばご理解いただけるだろうか。訊けば、ソリオに対してやはり改良を施したらしく、重心がソリオに対してスイフトが低いことも合わさってこのような感想を得られたのだと納得した。
余談ながら、デビュー時にRS各種のグレードで開催された試乗会においては、あまり乗り心地にいい印象が得られなかったのだが、AGSハイブリッド仕様での今回は非常に素直な乗り心地に感心した。うしろが重くなったためだろうか。車重は960kg、前軸600kg/後軸360kgである。ちなみにマイルドハイブリッド仕様では910kg:580/330kgだった。
無段変速慣れしている日本へ、怖じずにAGSというシステムを投入したスズキ。ハイブリッド仕様でスムーズさと高効率さを手に入れたのだとしたら、従来の変速機勢に対して大きくリードできる期待がある。果たして市場はどのように受け入れるのだろうか。
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